littlebookloveのブログ

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男と女の間でどう生きる?「性別モナ・リザの君へ」

今回ご紹介するのは、コミックの「性別モナ・リザの君へ」です。

白を基調としたシンプルなデザインに青緑の文字というミステリチックでどこか儚さも感じる表紙、何よりもタイトルに強烈に惹かれて手に取りました。

キャッチコピーは、「もし性別が選べるとしたら、あなたはどちらを選びますか?

 

その中には、今の時代だからこそ大切にしたい「多様性」が強く描かれていました。

 

それでは、簡単にご紹介します。

 

タイトルの意味

モナ・リザは両性具有の持ち主だと言われている

美術に全く詳しくない人でも分かる、世界一有名な絵画の「モナ・リザ」。

天才画家・レオナルドダヴィンチによって描かれたのは誰でも知っていますよね。

実はこの作品、本人が死ぬ直前まで加筆をしていた未完成の作品なんです。

髪形や表情からは女性らしく思えるのですが、よくよく見ると手のタッチが微妙に違うのが分かります。

 

右手はふっくらした丸みのある手、一方で左手はゴツゴツした大きめな手。

つまり、両手で男性・女性を表している「両性具有の絵」なのです。

 

実際、ダヴィンチは男女の性別を超えた存在を描きたかったようで、公にする前に描いていたこの人物に強い愛着を持っていたと言われています。

 

しかも、これらはあくまで有力説。

彼がモナ・リザに関して語っている資料や証拠は一切残っておらず、

世界一有名で謎が多い絵画と言われているんですね。

 

そんなタイトルがつけられたこの作品は、どのような結末を迎えるのでしょうか。

 

18歳まで無性別で生きてきた高校生・ひなせ

主人公は、18歳まで無性別で生きてきた高校生のひなせです。

まずここにファンタジー要素が入っていますね。

 

人間は12歳で男性・女性どちらかの身体に成長し、18歳で完成すると言われています。

第二次性徴という言葉を知っている方も多いでしょう。

生理、射精など、どちらか特有の身体の変化が必ず表れる年齢なんですね。

 

しかし、ひなせは12歳、そして18歳になっても身体に変化が現れず、当たり前のように与えられた性別を謳歌している周りとの違和感に苦しんでいました。

 

そんなひなせを見守るのが、美術が好きな男子高生・しおりと、テニス部で男勝りな根性を持つ女子高生・りつでした。

 

ここにも、女性らしい名前、男らしい名前という固定観念はなく、今の時代らしい価値観がそのまま出ていますね。

 

しおり=女性、りつ=男性という昭和世代の常識を見事に破壊してくれる気持ちいい設定だなと感じました。

 

そして、彼ら2人と過ごせる最後の1年に、ひなせにとって大きな出来事が起こります。

 

しおり、りつからの同時告白

ひなせと多くの時間を過ごしてきたしおりとりつには、ひなせへの熱い恋心が芽生えていました。

 

男性・女性どちらにもはまらない、もろくて流浪のような儚さを持つひなせへの想いを断ち切れなくなった2人は、遂に行動を起こします。

 

進路相談と名目を打って2人きりの時間を作ったしおりとりつ。

 

しおりは「好きだよひなせ。俺がお前を女にする。俺と付き合ってほしい

りつは「ひなせのことが好き。私がひなせを男にする。私と付き合ってほしいです

 

少女マンガの王道パターンですが、男女両方からの告白というのが決定的に違う点ですよね。

 

モノクロな世界を生きてきたひなせの世界が、ここから一気に色彩を帯びます。

 

性別が選べるなら、どっちで生きていきたい?

哲学のようなテーマですが、これは現代的にとても重要なテーマだと思います。

 

昨今のLGBTQやジェンダーレスの価値観を考えれば、深く考えさせられますよね。

 

性別という禁断のテーマに切り込んだ話題作、是非読んでみて下さい!

 

 

性別「モナリザ」の君へ。 1巻 (デジタル版ガンガンコミックスONLINE)